体育館の撮影 状況変化でカメラに要求される性能も変わる

体育館で行われる部活の撮影

学校での撮影は小学校までは運動会が主だったのですが、こどもの部活が中学から体育館で行われるようになったのです。それまでは主に屋外での撮影だったものですからISO100や200といった低感度で撮影していたのでカメラの高感度側の癖や明るさが足りない時の不便さに気が付かなかったのです。何度か納得の行かない撮影を繰り返して、新しいボディを買うことにしたのです。

眩しさを回避するために暗幕を締め切る

競技中は暗幕を締め切り選手の目の負担を抑えているようで体育館の中は天井からの照明が光源の全てです。もちろんフラッシュ禁止ですね。開会式にアナウンサれることが多くなりました。「競技の進行の妨げになるためフラッシュの使用を禁止します」といった感じです。

明るさが足りない

それまで光量不足を感じたことが無かったのでとても困ったんです。他の撮影では出力先をWebに限定したこともあって、発売から7,8年経過したモデルのカメラでも不満はありませんでした。ところが暗い室内に入った途端撮影できなくなりました。

屋外での撮影は感度を一番下げてさらに減光するためにNDフィルターを使うほどだったので夕方になるまでは感度を上げることなく、フラッシュも使う頻度が低かったのです。そのため、高感度での撮影を経験していませんでした。体育館の現場で慌てて感度を上げてみたものの、背面のモニターで確認してみるとノイズでザラザラ、ピントも合わないし、色もなんだか変。これは困ったなあと思ったもののそれまではなんの設定もしていないカメラでAモード、TVモードとPモードでお気楽に撮影していたので何もできなかったのです。

まず光量が足りなのでピント合わせに時間がかかったり、迷ったりするようになりました。これは感度を上げても関係ありません。写真の露出と合焦センサーは別なので光量が足りなかったりレンズのF値が大きいとピント合わせの時間がかかったり精度が甘くなようです。そこで、ピント精度の甘さを絞りでカバーしようと思っても暗いので絞れません。絞ると露出時間が長くなりすぎて選手の動きが大きくなってしまい流れ過ぎ写真になってしまうのです。

照明は天井からの水銀灯やナトリウムランプ

体育館の照明は水銀灯やナトリウムランプの組み合わせが既存の体育館では主流です。新設の体育館ではLEDでの設計が多くなっていますけど。この水銀灯とナトリウムランプの組み合わせがまた厄介なんです。
ホワイトバランスを取ろうとホワイトボードや選手のゼッケンから白を探してから手動でホワイトバランスを取るんですが、選手の位置で色が変わるんです。というのもランプの色が2種類あるためでどちらか一方でホワイトバランスを決めてしまうと一方で緑や黄色に振れてしまうのです。会場によって色や照度が違うので一概に言えなのですが手動で取る必要があるところとプレセットの設定でうまくいくところがあります。

また何枚かに一枚は露出が落ちるものも出てきます。これはランプがチラチラしているためでチラチラの間にシャッターが開くと露出不足の写真ができあがるのです。最近カメラにはフリッカーレス機能が付いているものもあるのでシャッターチャンスを逃すこともすくなくなるはずです。

結局新しいボディ購入へ

何度か体育館での撮影を経験し、PC上でカラーバランスや露出を変えたりとやってみましたが手間が掛かりすぎて諦めました。その時は Canon EOS 20D から 50D に換えたのですが圧倒的に楽になったのを今でも覚えています。感度を上げてもノイズが許容できる範囲で撮影できる、合焦で迷わないなどなるほど新しいボディはいいなあとしみじみと感じたものです。

試合では取れないアングルを練習試合で

中学生の部活の地方大会では行われる試合数も参加校も数が多いせいか選手以外は同じフロアでの観戦はできないことが多いのです(他にも理由はありそうですがここで挙げるのは控えます)。多くの会場ではキャットウォークや観戦席からの撮影になるので必然的に上から見下ろす構図になります。

高校まで学校のの体育館はほとんどの場合バスケットボールコート(15mx28m)を2面撮れるように規格されるので30mx40mくらいです。ゲームの撮影の際に被写体の反対側の観客席から撮影できれば絵になるのですが、当てが外れて近くで動かれてしまうと真上からの見下ろしになるので映るのは頭の上ばかり。仕方なく撮影場所を変えに動くこともあります。

そんなわけで、練習試合ではゲームをするフロアで撮影しました。いつもは上からの構図も、同じフロアであれば選手と同じ目線で撮影できます。ジャンプの高さ、選手の動きやチーム同士の緊迫感など表現の幅が広くなります。

こういう時のためにも普段からチームメイトの姿も一緒に押さえてデータを配布しておきましょう。何年もこどもの部活の撮影をしましたけど同じようなことをしている方に合うことはまれでした。ビデオはどこのお母さんも回していますが、写真撮影となると試合後の集合写真がメインになっているようです。そのためか、チームメイトのお母さん方には好評だったようです。この好評が得られないと「怪しい男が入り込んでる」となるわけです。

今日のかんたんまとめ

いつもの撮影状況とは違う環境で撮影をすると機材にも異なる要求が発生します。

設定や撮影の工夫を超えてしまう時には機材の変更も検討しましょう。買い替えの時期かもしれません。ただし、お財布と相談の上で。無理をすると長く続きません。

高級レンズどんな価値があるの?

カメラボディとセットになっているキットレンズと高級レンズの違いは「どんなユーザーに向けて作られているのか」です。

キットレンズのユーザには手頃な値段で写真を楽しんでもらうための工夫がされています。価格を抑える一方で性能を確保する、相反するテーマのバランスの答えがキットレンズです。一方高級レンズは光学性能を追求することでより深く写真を楽しむことができるよう設計されています。明るさやシャープさ歪みの除去といった光学性能やオートフォーカスの速度や手ブレ防止の追従性といった機構的な性能を極限まで追求しています。

キットレンズと高級レンズの比較表

キットレンズ 高級レンズ
価格 手頃 高価
光学性能
大きさ 小さい 大きい
重量 軽い 重い
フルサイズ対応 ×

キットレンズの特徴

キットレンズは手頃な価格で一眼レフらしい写真の撮影ができることが設計のテーマです。スマホのカメラやコンパクトデジカメに比べるとズームレンズ付きのデジタル一眼レフはピント合わせや映る範囲の調整が素早く楽にできます。写真撮影に付き物のピント合わせの時間待ちやもっと寄りたい、もっと引きたいといった画角の調整に気をわずらわせることなく撮影を楽しむことができます。

キットレンズは女性やお年寄りにも使いやすいようAPS-Cサイズの撮像素子専用の設計に最適化することでレンズを小さく軽くすることができます。長時間持ち歩いても負担にならない重量に抑えています。
価格を抑えるために特殊なガラスや非球面ガラスといった高価に借りがちな素材の使用を控えています。

 

高級レンズの特徴

高級レンズはフルサイズボディを使うユーザー向けにフルサイズで設計されています。APS-Cサイズのボディにも使用できます。APS-Cサイズのボディでは焦点距離が1.5倍または1.6倍になります。(20mmなら30mm、50mmなら75mm)

光学性能を最優先に設計されています。光をより多く取り入れるための大口径、よりシャープな画像を作るための特殊な素材のガラスや非球面レンズなど。より素早いピント合わせ、より高い手ブレ防止機能でユーザーの撮影をサポートします。耐久性の高いモーターや機構部に加え防塵防滴機能を持ち永い間のユーザー使用に応えます。

それぞれに得意な撮影シーン

キットレンズは万能選手

キットレンズは広角から望遠まで一般的なユーザーが求める画角、焦点距離をサポートしています。運動会やイベントといった晴れた日の屋外の撮影、、日差しが差し込むような明るい室内などでは気持ちよく撮影できます。
日中、散歩や公園などでの花や風景といった街角のスナップ、動物やこどもなどの動く被写体のポートレートにも最適です。

高級レンズは暗いところや絵作りが得意

望遠域でもF値が小さく明るいレンズが多いので体育館で暗幕を閉め室内照明で行われるような球技や武道の撮影に向いています。フラッシュの点灯が禁止されるような状況でもより低感度で撮影が可能です。
ピント合わせの時間が短いのでスポーツの他、野鳥や野生動物の撮影に向いています。
レンズのコーティングによりレンズ内の反射をより小さくしています。ゴーストやフレアと呼ばれる光が映り込むことを抑え、太陽や光源を直接取り込む構図を使うことができます。
F値が小さいため絞りを大きく開けると背景をぼかして被写体を際立たせより印象的な写真が取れます。

今日のかんたんまとめ

キットレンズは手軽にデジタル一眼レフカメラでの撮影を楽しみたいユーザー向けに価格や大きさ重量を抑えて作られてります。高級レンズはこだわって絵作りをするユーザーや難しい条件下での撮影に向いています。

あらためてまとめてみて、キットレンズの価値の高さを実感しました。

望遠レンズどのくらい必要なの?

最初に買うデジタル一眼レフはWズームキットでしょうか。Canon、Nikon、PENTAXのAPS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラにWズームキットとして組まれているレンズは18-55mmと55-250~300mmです。どのくらい遠くのものがどの程度に映るのでしょうか。

ファインダーの上下いっぱいに身長150cmの人物を入れようとすると、55mm側で約5.5m、250mm側で25m程度です。25mといえば小中学校のプールの向こう側の距離と同じです。体育館であれば短い方の距離でおおよそ同じ(28m程度)、長い方ではちょっと小さく映る感じですね。

そう考えるとWズームキットは子どもがいる家庭の多くの要求を満たす組み合わせだと考えられます。下の表はAPS-Cサイズデジタルカメラの焦点距離と画角、身長150cmの人がタテいっぱいに映る距離を示しています。

焦点距離

(mm)

垂直画角

(゜)

距離

(m)

10 73.7 1.0
12 64.0 1.2
14 46.4 1.4
18 45.2 1.8
20 41.1 2.0
24 34.7 2.4
28 30.0 2.8
35 24.2 3.5
50 15.5 5.5
70 12.2 7.1
100 8.6 10.1
135 6.3 13.6
180 4.8 18.2
200 4.3 20.2
250 3.4 25.3
300 2.9 30.3
400 2.1 40.4
500 1.7 50.5

焦点距離と150cmの人がタテいっぱいに入る距離がおおよそ100倍の関係になっていることがわかるでしょうか。

  • 焦点距離 50mm => 5.5m (5500mm)
  • 焦点距離 250mm => 25.3m (25300mm)

Wズームキットレンズの望遠側は250mmから300mmなので25mから30mは人物がいっぱいに映ることが実感出来たでしょうか。

シャッターチャンスに強いデジタル一眼レフ

シャッターチャンスに強いデジタル一眼レフ

シャッターチャンスを外したことありませんか?それはコンパクトデジカメではありませんか?デジタル一眼レフならシャッターチャンスに強くなります。

ピントを合わせるシステムが違う

デジタル一眼レフは動きに強いのが持ち味です。スポーツや動物のような動き回る被写体にオートフォーカスで瞬時にピントを合わせ撮影します。他のデジカメにもオートフォーカス機能はありますがデジタル一眼レフ程には速くありません。これはコンパクトデジカメに比べ一眼レフカメラにはピントを合わせるためのセンサー(位相差AF)が別途付いているためで、動きのある被写体に向いているのです。

位相差AFは素早くピントを合わせることができる反面、センサーを小さくすることが難しく主にデジタル一眼レフに採用されてきました。撮像素子と別に専用のセンサーを必要とすることからコストが掛かります。

ピントの合わせ方を選べる

ピント合わせの方法には大きく2種類あって、最初に合わせたピントを動かさずにシャッターを切る(シングルAF)方法とシャッターを切る直前まで連続してピントを合わせ続ける(コンティニュアスAF)方法があります。

シングルAFはピントを合わせたい被写体に対してAFでピントを合わせた後、撮影範囲を変えシャッターを切るために使います。構図やフレーミングとピントを合わせる位置が違うときに使う方法です。建物やポートレート、記念写真など動かない被写体に向いています。

コンティニュアスAFはフォーカスボタンを押している間、被写体へのピント合わせを行います。運動会や発表会、スポーツ、犬や猫といったペットといった動き続ける被写体の撮影に向いています。

デジタル一眼レフの要は光学ファインダー

デジタル一眼レフってどういうものなのでしょうか。iPhoneやスマホのカメラやコンパクトデジカメでも撮影はできます。小さくて簡単によく写るカメラがあるのに大きくて重い一眼レフデジカメを使う理由は何でしょうか。
デジタル一眼レフは撮影する対象物を素早く確実に捉えるための機能を優先して進化してきました。スポーツや報道、野生動物のような動きのあるモノが思い浮かぶのではないしょうか。生活のシーンでは子どもの運動会・部活などのスポーツや発表会、猫・犬や昆虫といったペットなどが主な撮影の対象です。
デジタル一眼レフではなくても満足に撮れる対象は風景や建物、植物といった動かないものです。これらの対象はコンパクトデジカメやスマホ、ミラーレス一眼でも思った通りの撮影ができます。
デジタル一眼レフにはコンパクトデジカメやスマホには無い光学ファインダーがあります。デジタル一眼レフの光学ファインダーはレンズから入った光をミラーやプリズムを通し目に届けます。そのためファインダーに映る絵には時間的な遅れがなく、いつでもレンズが取り込もうとしている画像を目で確認することができるのです。一方スマホやコンパクトデジカメには電子ファインダーが装備されているのですでにレンズを通過し受光素子や電子回路で処理された画像をディスプレイで確認することができます。ただし、電子的な処理時間が必要なため若干の時間の遅れがあります。
こどもやペットの動き部活や運動会のような動きの大きな被写体を追うには電子ファインダーよりも時間的な遅れの無い光学ファインダーが有利です。